ジェラルド・M・ローブ『投資を生き抜くための戦い』2 投機的な心構えが不可欠

2 投機的な心構えが不可欠

 人は、投資に多くを期待しすぎる。彼らは、常に金を「働かせて」いなければならないという誤った考えに取りつかれているのだ。

 トレードにおいてキャッシュのままチャンスを待てないことを、俗にポジポジ病と言ったりしますが、もっと大局的な観点からも同じことは言えると思います。

 投資の障害を克服する才能を有し、さらに教育、経験、コネクションによってその力を伸ばすことのできる人の数は、他分野での成功者の比率に匹敵する。超一流の投資家は、比率として、優れた陸軍大将、海軍提督、医師、科学者、弁護士、芸術家、作曲家、音楽家と同じくらい少数だ。

 当たり前と言えば当たり前のはずなのですが、なかなか普段意識できないことだと思います。素人でも同じリングに上がって参加するだけなら可能(というよりそれしか不可能)なことが関係しているのかもしれません。

 成功のためには、投資の目標はうんと高く掲げなくてはならない。それだけでなく、その目標は投機的でなくてはならない。というのも、それでしか安全が得られないからだ。矛盾して聞こえるかもしれないが、買い手は投資した資本の将来の見返りを待っているだけではだめだ。また、投資が行われている間、所有権に付帯する収入がどんな形でもたらされようと、それをあまり気にしすぎてはいけないのである。
 ここでのプログラムは、あらゆる投資が受ける平均的な損失、避けがたい個人の判断の誤り、通貨価値の低落や税の影響、またときには当初の計画よりも早期に投資を切り上げなくてはならなくなった場合など、さまざまな問題に対応できるだけの利益を上げることに向けられている。

 「投機」(speculate)が意味することには人によって幅がありすぎて、よく考えないといけません。ここでは原義に近い思索・推測・思惑をする、とにかく「ただ投資して何も考えずにいること」の反対を指しています。日本語の「機に投ずる」でもニュアンスは通じるでしょう。

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