すでにちょっと古い話になるかもしれないが、かぶ1000さん、べるさん、テスタさんの放送やその周辺で何度か繰り返されたバリューグロース論争についての私なりのまとめ。
あくまで私の理解では、という前提でだが、現在の株クラで「バリュー」と「グロース」と漠然と二分するとき、「バリュー」はいわゆるバリュー株投資のことではないし、「グロース」はいわゆる成長株投資のことではない。
どちらも本来の文字通りの意味から外れており、単なるラベルと化している。では、実際に意味していることは何かというと、これも私の理解では、という条件付きながら「イナゴ(をカモれること)に期待するか否か」である。
「イナゴ」という言葉にも最近(?)別の意味合いが生じつつあるのでややこしいが、「煽り」のことはいったん考えず、単に「表面的な情報に流され流行の株をすっ高値で買ってくれる主として個人の情弱投資家」と定義する。どうしても「イナゴ」が嫌なら「カモ」でもよい。
その上で、「バリュー」は「イナゴに期待しないスタイル」、「グロース」は「イナゴに期待するスタイル」と定義するのが、一番私の実感に合う。
いわゆる正統派バリュー投資で扱われる株にイナゴが集まることはほぼなく、いわゆる正統派成長株投資で扱われる株にイナゴが集まることはよくある。これがバリュー・グロースをイナゴに期待しない・するスタイルの代名詞としてしまっても違和感がない理由であろう。
テスタさんやべるさんがかぶ1000さんに対して揃って言っていたことは、私の理解で要約すると、
- 2012年末のアベノミクス開始から2017年までは、カモがいっぱいいたのだから、それらに期待するスタイルの方がもっと稼げただろう。
ということである。この発言自体については私もそうだと思う。
これに対する、かぶ1000さん及び他の数名の古参バリュー投資家の反論、つまり自分の(イナゴに期待しない)スタイルを維持する理由は、やはり私の理解で激しく要約すると「イナゴはいつもいるものではないから」ということである。
この反論もまた私は正しいと思う。イナゴの資金は有限であり、まさにグロースの上手い人、イナゴをカモにする人を儲けさせたその分だけ、市場からいなくなっていく。べるさんやテスタさんは当然それもわかって言っている。
私が少し気になったのは、この古参バリュー投資家勢の反論に対する再反論の中のひとつ、具体的に誰の発言かは忘れたが、
- 「なんでバリューの人はグロースの人がずっと握りしめたまま死んでいく前提で話すんだろう?」
というようなものである。
おそらく発言の本人はグロース派を自認していて、自分は成長株を扱っていても高値で掴んで損切りせずに大損するようなことはしないと思っている。多分本当にそうなのであろうし、それは正しいと思う。
しかし、ここで重要なことは、(上手い)グロースの人にバリューの人以上のパフォーマンスを提供するカモ(イナゴ)とは「すっ高値ではめ込まれた株を損切りせずにずっと握りしめたまま死んでいってくれる(下手な)グロースの人」に他ならないということだ。
だからこれは、私の意見では、バリュー派に対する再反論にはなっていないと思われる。おそらくバリュー派からは、
- 「なんでグロースの人はすっ高値買ってくれるカモがずっといる前提で話すんだろう?」
という再々反論が返ってくる。
そして、たとえ自分が現在グロース派の中の勝ち組であり、バリュー派の勝ち組より高パフォーマンスであったとしても、これに返す言葉はない。
ずっと握りしめたまま死んでいくグロースの人がいないということはカモがいないと同義であり、自分が言ったことだからだ。
ちなみに、私がバリュー派という意味ではない。長期的にはイナゴ・カモに頼らないスタイルが望ましいと思い、それを目指してはいるものの、ここまでの実際の儲けの内容はむしろグロース寄りであるようにも思われる。
そしてこのカモの枯渇は、2018年末以来、実際に起きていることのように思われる。私も現に儲からなくて困っている。
つい最近の3258 ユニゾHDのTOBの件でかぶ1000さんはじめバリュー投資家が名を上げたことは、アベノミクス以降のカモ多め≒グロース派優位の市場から、カモ少なめ≒バリュー派優位の市場への転換を示しているようにも思われる。
コメント
HISによるユニゾTOBに食いついてきたイナゴにユニゾ株を売り付けるのはどっちなんです?バリューなの?グロースなの?
もちろんTOBというイベントにだってイナゴはつくけど、
狙ってたのはTOBの方で利益のほとんども
TOBによるものだから今回の文脈ではバリューやね。