ジェラルド・M・ローブ『投資を生き抜くための戦い』12 何をいつ買うべきか

12 何をいつ買うべきか

 実際の投資では、妥協は必要である。理想的な投資を行う条件が一度にすべてそろうことはない。たとえそのような機会があったにしても、その到来をすべて知るのは不可能に近い。
(中略)
 第一に、背景が総じて有利であること、つまり地合いが弱気で証券市場の流動性が高いことである。景気はすぐれず、またはやがて不況になることが予測される。
(中略)
 株価は、会社の経営状況が悪い、まもなく悪化する、または今後も改善の見込みがないなど、大方の見方を反映した値段のものがよい。同時に、買い手はこういった表面的な状況とは逆の意見を持ち、しかもその意見は確かな判断と信頼できる情報源によって裏打ちされていなくてはならない。

 繰り返しですが、この本の短期はあくまで投機の意味であり、長期の逆張り的思考もちゃんとあるということ。

 地合い、期待、意見――それらの証券価格への影響――を吟味することの重要性は、いくら強調してもしきれないほどである。買いの好機は、実際に本物の景気後退がなくても訪れることがよくある。そんなときは、不況の懸念があるのだ。利益と配当金は正常だが、一方で先行きへのいわれない不安が募り、価格が本来なら赤字を表すような水準まで下がると、問題の株はたいへん魅力的になる。逆に、有望な見通しが期待されるときは、たとえ会社の業績が正常よりもかなり低かったとしても、株には投機的に高値がつくことがある。
 このように買いの決定要素は価格に対してディスカウントされた利益であり、必ずしもその時点の実際の利益水準ではない。

 強調部(強調自体は元からある)は、「価格で」割り引かれた利益、の方が日本語としては自然な気がしますね。文脈的に誤解はありえなさそうですが。

 目的は常に、多数派が投機的と考えるものを買い、同じく多数派が投資に値するレベルに達したと思うときに売ることだ。この方針にこそ、安全と利益がある。まず考慮するベきは株価であり、企業のタイプや特徴などはその次でいい。

 うーん、やっぱりマウントゴックス破綻の時にビットコイン買っとけばよかったか……。(くどい)

 販売される製品やサービスは、あまり一般に需要の高いものでないほうがいい。なぜなら、そうなると政治的介入のターゲットになるからだ。

 ここは当時と現在では、政治の印象が少し違いそうなところですね。こういう意味で政府が経済に介入することはあまりなくなっているでしょう。あえて言えば、近年で一番近いのは総務省の「0円スマホ禁止」騒動でしょうか。

 理想的な投資対象は、購買心をそそるほどの安値ではそうそう見つからない。

 欲しいと思う株は安いと思う値段では買わせてくれないもの。バフェットの「まともな企業を素晴らしい安値で買おうとするよりも、素晴らしい企業をまともな価格で買うほうがいい」というのもそうか。

 いまは投資信託が目をつけていないが、のちに値上がりしたときには関心を示し、ポートフォリオに加えるような企業が望ましい。

 個人投資家の小型株投資のひとつの理想は、VC(ベンチャーキャピタル)から買って機関投資家に売ることだ、というようなことが言われますね。

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