17 さらにマーケットのテクニカル的状況について―その相互関係と意義
この章名は日本語版にしかなく、原文では『その他のテクニカルな着眼点』のそのまま続きです。突出して長すぎる章なので、何らかの都合で分割されたものと思われます。
本当に価値あるテクニカルな情報は、そう簡単には手に入らない。機敏なブローカーなら知っているだろうが、役に立つ数値よりも、個人の判断が優先するのは仕方がない。
人は、「弱い」テクニカル的状況やマーケットの「買われすぎ」状況、またその逆に「強い」状況や「売られすぎ」について語る。当然ながら、取引されるすべての株は常に誰かが所有しているので、これは結局は株主の質のことを言っているのだ。
再び株主の質について。よく考えれば当たり前のことなのですが、私も結構後になるまで本当にはわかっていなかったかもしれません。この件について今までで一番わかりやすかったのは、『生き残りのディーリング』です。この本も非常に素晴らしいのでオススメです。
株は通常、注文の多い方向へ動く。つまり、買い下がりで出された多量の指値買いと、売り上がりで出された少量の指値売りの組み合わせでは、株価は下方に動きがち――またはその逆――なのである。当初の期待に反するこのような動きは、重要な買い付けが行えるように売りに出ている株が必要なことや、同様に多量の売り抜けには十分なビッドが必要だという、ごく当たり前の事情にあるのではないかと思う。
株の買い付けを決定するのに必要なことのひとつは、素早く、大量に、しかも株価をあまり動かすことなく実行する能力である。上昇の限界点にほんの少数の株式しか売りに出されていない場合、それだけで、その気になっていた買い手を他の銘柄へやってしまう決定要素になるかもしれない。
再び「板の厚い方へ動く」話。ここで「買い下がり」とか「売り上がり」とか訳されているのは、普通そう呼ばれる行動のことではなく、板の形のことだと思われます。文章では難しいので図示するとこうです。
私なら最初の長期投資には、ほかの条件が同じであったら、できるだけオーナー経営に近いものか、少数の株主が大きなブロックを保有している会社を探す。
これも株主の質の話。
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