ジェラルド・M・ローブ『投資を生き抜くための戦い』45 投資家は将来の景気変動に備えるベし

45 投資家は将来の景気変動に備えるベし

「金を儲けるためには金が要る」

 この章はタイトルの印象とは異なり種銭を貯めることに関する話。投資以前の話が書かれた投資本として思い出すのは『投資戦略の発想法』ですね。個別の話題は古くなっても、今でもオススメです。

 金を増やすための元手資金を貯めようと思うなら、計画性、努力、自制心を働かせて予算作りをすることだ。きっと役に立つ。
 (中略)すべての年間必要経費を12で割って、毎月分の支出として把握することから始めるべきだ。ここには税金、利子、保険料、返済予定の債務などが入る。私はさらに「臨時出費」積立金という項目を設けて、予見していない出費や、保険でカバーされないまとまった額の出費が突然生じたときのために備えている。
 次は 「収入」の予測だ。これは給与、投資、勤め先から分配される現金などである。収入源の項目は人によって異なるだろうが、特定するのは簡単なはずだ。

 家計簿まわりの話の詳細は他の本に譲るべきでしょうが、基本的な考え方はこれだけで十分だと思います。

 一時的に発生する利益や損失を無視するベきではないが、(変化がプラスだった場合)それをすべて収入として勘定に入れるのは絶対にやめたほうがよい。私はそれらの合計の6パーセントを、収入予定に入れるようにしている。

 他の部分での使われ方から想像するに、ここの6パーセントというのは無リスク金利のことだと思われます。いわゆる「コップから溢れた水だけを飲む」考え方です。金利がゼロ近辺の今では、投資利益等はまったく収入に数えない方がいいことになりそうです。

 あえて「貯蓄」という項目を挙げなかったのは、その分は投資で増やすための 「運転資本」に回してほしいからだ。人生において勝者になりたいと思うなら、投資によって資産を形成するベきだ。自分は投資には向いていないと思うなら――将来への備えとして貯蓄をすべきだ。
 ここで、あなた個人の目的や欲望――そして犠牲を払う覚悟の有無――が問題となる。
 将来、より良い家や車を手に入れるために節約して 「運転資本」に充てる額を少なくする人と、その逆の人に道は分かれる。

 種銭がなく、当然投資でまともに儲けたこともない一番最初に「犠牲を払う覚悟」をするモチベーションをどこから持ってくるのか、というのは、卵が先か鶏が先か的で、重要な問題のような気がします。誰にも当てはまる答えはなさそうですが。

 自分の場合、結婚して子供ができて入金可能額は少なくなる一方で、資産は増えてきたので、総資産の増加に入金が寄与する割合はかなり小さくなってきました。種銭作りの段階は過ぎたと言えそうですが、逆に考えれば大きく失ったらリカバーは効かないということでもあります。

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