プリンシパルエージェント問題から利益を得てる的罪悪感(?)あるのは否定しない。
— 疑い深いトマス (@xFOMAx) 2018年5月10日
プリンシパル・エージェント問題自体の説明はしないが、利益を得たりコストを払ったりする主体と、意志決定を行う主体が別であるときに起きやすい問題をいう。
研修に関わる主体を3者で表そう。
- 研修の費用・金銭的コストを払う主体。通常、組織(企業や役所)である。
- 研修の時間的コスト(機会費用)を払う主体。通常、研修を受ける当人たちである。
- 研修内容やその購入を決定する主体。人事部だったり特定部門の上司であったり、少なくとも1,2のどちらとも異なる。
1.の真のベネフィットは、2.の能力向上を通じた組織の能力向上である。これはそのままである。
2.の真のベネフィットは、2.の能力向上を通じた2.自身の待遇改善である。1.のそれとは完全に一致しないが、それは組織の常であり、今回取り扱う問題ではない。
問題は3.の真のコストとベネフィットである。3.は金銭的コストも(研修を受ける)時間的コストも負わない。ベネフィットも間接的にしか(人事部だったりするとまったくと言っていいほど)受けない。
3.が実際に負っているコストは、
- 研修を選ぶ時間的コスト
- 研修が期待外れだったときに批判を受けるリスク
- 何か事件が起きたときに適切な研修を行っていなかったと非難されるリスク
等である。
当然、価格とクオリティに最大限の関心を寄せるのではなく、無難な研修を、不足よりは過剰に購入したくなるバイアスが、強く存在するだろう。
無難なものを簡単に選択し、かつ外れても批判されないためには、わかりやすい権威があるラベルがあればとてもよい。たとえば東証一部上場企業である、とか。
インソースが上場後、東証一部昇格を全力で急いだ(ように見える)のは、おそらくその効果を得るためであろう。
インソースdisに見えるかもしれないが、そうではない。研修業一般に当てはまる話であり、兼業者・零細企業によるユルい旧来型研修が許されてきた理由の説明でもある。
インソースは企業としてごく普通にやるだけで、それを根こそぎかっさらい、なおかつクオリティも上げて関係者全員を利することができるだろうと思う。
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