踏み上げが起こる原理

 自分にとって目先これが重要な場面のようなので、この機会に一度「踏み上げ」についての自分の理解をまとめます。なにか間違っていたら教えて下さい。

通常売買

 まず普通の売買では、買いと売りは対称的です。買い手は現金を払い株を受け取り、売り手は株を渡し現金を受け取ります。分かりやすいです。

取引前の状態

主体 所有 将来
A:買い手 現金 買うかも
B:売り手 売るかも

取引後の状態

主体 所有 将来
A 売るかも(新売り手)
B 現金 買うかも(新買い手)

 取り引きの前後で、株を買った人は、今度は売る可能性のある人になり、売って現金を受け取った人は、今度は買う可能性のある人になります。完全に対称的です。

信用買

 信用買いは比較的わかりやすいです。親戚やサラ金からお金を借りて、それで株を買うのと、本質的には何も変わりません。お金を借りる相手が証券会社であるだけです。

 一定期間後にお金を返す必要が生じますので、もちろん潜在的な売り圧力にはなりますが、その効果は確実ではありません。

 お金を返す方法はその株を売るだけではありません。他の株を売るとか土地や車を売るとか、さらなる借金を重ねるとか、いくらでも方法がありうるからです。

信用売

 難しいのは空売り(信用売り)です。これには買い手、売り手だけでなく、もうひとつ主体が必要です。

 何らかの理由、たとえば大株主で普通には売れないなどで、当面その株を手放さないと決まっていて、誰かにその株を貸す主体です。

取引前の状態

主体 所有 将来
A:買い手 現金 買うかも
B:空売り手
C:株貸し手 売らない

CからBに貸し株した状態

主体 所有 将来 備考
A 現金 買うかも
B 売るかも 一定期間後に株を返す義務
C 売らない(売れない) 一定期間後に株を返してもらう権利

取引後の状態

主体 所有 将来 備考
A 売るかも
B 現金 買わなければならない 一定期間後に株を返す義務
C 売らない(売れない) 一定期間後に株を返してもらう権利

 Cはもともと当面株を売る気がなかった安定株主ですから、貸してしまって売れなくなっても売り圧力は変化なしです。

 Aは新たに株を得たので売る可能性がある人がひとり増えました。これは通常の売買と同じです。

 唯一違うのはBです。Bは現金を得たので次に買う可能性がある人になりました。ここまでは通常の売買と同じです。しかし、Bには一定期間後に株を返す義務が残っています。

 対してAには将来売る義務がありません。つまり空売りは、売る義務を発生させず、買う義務だけを発生させるのです。株や現金を増減させるわけではない(魔法ではないので当たり前ですが)のに、買い圧力だけが増します。この非対称が踏み上げの本質です。

踏み上げ

 そして、株を返すのはお金を返すのとは少しわけが違います。「お金がない」という状態は普通に存在しますが、それは誰もが(タダでは)他人に渡したくないと思っているからで、どこを探しても日本円が見つからず、なにを犠牲にしても日本円が得られないということは起こりえません。

 しかし、株は違います。ある時点のある株の総数は決まっており、ほぼ株式市場でしか買えないので、市場参加者が誰も売りたくないと思えば、どこを探してもその株が見つからず、なにを犠牲にしてもその株が得られないということが起こりえます。

 空売りが増え、かつ市場参加者が誰も売りたくないと思うような状況が発生すれば、どれほど高くても買わなければいけないのにそれでも買えないという主体が増え、ますます値がつり上がり、そのためますます誰も売りたくなくなる、という正のフィードバックが生じます。

 正のフィードバックは他の要因によって制限されるまで止まらないので、普通ならありえないような高値までつり上がってしまうことになります。これが踏み上げです。

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