バリュー投資家は「頭がいい」のか?

 要約すると「バリュー投資家は頭がいい」ということが言われることがある。「バリュー投資家」の代わりに「長期投資家」が入ることもある。

 事実上「短期トレーダーは頭が悪い」と言っているも同然なので、炎上とまで言わなくても論争になりがちである。

 私の意見では、この主張そのものは間違いであるが、そう言ってしまいがちになる背景となる事実はあり、それを特定することによって、無意味な論争を避けることができると思う。

 行動経済学で双曲割引という概念がある。ここで詳しく説明はしないが、時間による割引率が、高い≒近視眼的・低い≒長期的と考れば、大きな間違いはないだろう。

 そして、

  1. 時間割引率の極めて高いバリュー・長期投資家はまずいない。
  2. 時間割引率の極めて高い人間は、日常的に使われる概念では、単に「頭が悪い」と表現されることが多い。

 の2点までは、定義そのものから言っても、事実としても、現実に成り立っている関係だと思われる。

 つまり、単純に「長期投資家は頭がいい」とか「短期トレーダーは頭が悪い」と言ったら間違いである。頭の悪いバリュー(長期)投資家も、頭の良い短期トレーダーも、当然いくらでもいる。

 しかし、割引率の高さ故に「頭が悪い」と表現されるタイプの人間が、短期トレードを続けていることはあっても、バリュー投資・長期投資を続けていることはほとんどないため、観測範囲によっては、そう表現してしまっても不自然に見えない状況はありうる。

 ……ということだと思われる。

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