「少し勝つと教えたがる」のは自信がないからか

 ①-③まではほとんどトートロジーレベルで、失敗に繋がって当然と思えるが、少しだけ興味深いのは、必ずしも自明でない④。

 よく言われることであるが、本当に有意に勝てる方法があるならば、それは飯の種であり、他人に教えるのは自殺行為である。

 にも関わらず教えたがるとすれば、普通に考えれば、

  1. それは本当は勝てる方法ではない
  2. 儲けること以外が目的になっている
  3. 教えることが自殺行為となる原理を理解できていない

 のいずれかであろう。このうち2,3が失敗に繋がる理由もまたほぼ明白と思える。この中で興味深いのは1だ。

 本当は勝てる方法ではないとわかっていて教えたがっているのだろうか? 情報商材屋などでは実際にありそうなシチュエーションだが、今想定しているのはそういう話ではない。

 本当に勝てる方法だとわかっていて教えたがっているのだとすれば3の方になるが、基本的な原理原則もわからない人間が、本当に勝てる方法がわかって、それを自分がわかっていることもわかっている、などということがありうるか?

 となるとどちらも不自然で、1のパターンは、

  1. それは本当に勝てる方法かどうか自分でも自信がない

 とした方が正確なのではないか。

 自分でもそれが本当か自信がないから、まぐれかどうか確信できないから、それが本当に勝てる方法だと思いたい。他人に教えたいというより、それによって自分自身を説得して安心させたい、という自己欺瞞の要素が強いのではないだろうか。

 この見方ならば「少し」勝つと教えたがる、の部分まで綺麗に説明がつく。まぐれか自信がない最初にこそ信じたい要求は強く、実際に多く勝つまでには平均への回帰によって否定されてしまうからだ。

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