パズドラに効いているバンドワゴン効果の考察

 Twitterで伝道師やGCN氏と話した時の内容を整理したもの。

 3度目の抜かれ以降、パズドラもだいぶ警戒してスケジュール合わせたり、おそらく予定になかった嵐CMなどでテコ入れして来ている。

 しかし、ベースの新規DL数が違うので水面下では差は詰まり続けていると思う。蓋をされている分、再度のモンスト一位が発生した時のインパクトは相対的に高まっているだろう。

 モンストが3月以降いろいろテコ入れされて、もはやパズドラが圧倒的に上回っていると言い切れる部分は「いま一位である」という部分しかない。(上回っている部分がないと言っているのではないことに注意。)

 これがたとえば何らかの魔法で一ヶ月間一位を受け渡すようなことがあれば雪崩現象が起きてそのまま逆転が固定してしまってもおかしくない。

 私がパズドラ側だとしても、それを警戒して、当分とにかく一位を渡さないようにして、

 これからも一位はずっとパズドラだぞ、すぐに廃れる他のゲームに移って課金なんかするなよ、もったいないぞ、どん判金ドブになるぞ。

 というメッセージをユーザに暗に伝えるだろう。

 ここまでの事情はモンスト側でも明らかなので、ゴジラコラボ、新イベント、1000万DL記念 etc. をバラけさせずに全部まとめて、とにかくまた一時でも一位奪取しようとしている。

 ……という状況だと勝手に思っている。

 ここでパズドラが一位であることそのものにかかっている効果の大きさが重要なので、もうちょっと詳しく考察する。

 先行者効果を甘く見ているわけではないが、目先どうあれ長期的にもパズドラを抜けないというケースはあまり考えていない。もちろん希望的観測かもしれないが。

 私の予想のベースはこちらの考察に近い。モンストが一位を取るというより、パズドラの一位がこれ以上続くことが考えにくいと思っている。

 当の運営自身がなぜヒットしたかわからないと度々発言しているように、パズドラの大ヒットはそれほど自然なものではなくて、かなりの偶然の要素に助けられた不自然なものだと思っている。

 それでも大ヒットできた最大の要因はもちろん、スマホゲームアプリ市場ができて最初のヒットだということだ。カンブリア爆発の時に、今から見ると不自然で効率が悪そうな生物でも繁栄できたのと同じことだ。

 モンストとパズドラの登場順序が逆だったらパズドラがモンストを抜くことはあまりありそうにない。(本当はモンストが後発なんだからそれで当然だが。)

 にも関わらず、現在パズドラが一気に抜き去られないのはなぜかというと、長く不動の一位だったことによって、いくつかのバイアスがかかっているからだろう。

サンクコストの誤謬

 ひとつはサンクコスト。すでにパズドラに金や時間をつぎ込んでいるから他に移ったら捨てることになるということ。

 ただし、これは経験上そんなに大きいものとは思えない。面白いとかつまらないとかいうのはそのようなものではない。

 自分はいわゆるソーシャルゲームはやってこなかったが、高い金出して買っちゃったソフトだから、つまらんけどもっと遊ぶかとか、もう飽きたゲームだけど、もう長い時間かけちゃったからまだやらなきゃ、とかいう行動は、あまりありそうにない。

 どちらかというと重課金・廃課金者に生じやすそうな効果であるし、動画配信者や攻略サイト運営者には重要であろうから、あまり軽視もしていないが、現在モンストとの比較で重要なのはこれではないと思う。

バンドワゴン効果

 もうひとつはもっと単純なバンドワゴン効果。勝ち馬に乗りたい、面白いゲームというより流行っているゲームを遊びたいということ。

 特に子供などは、学校や友人グループで流行っていないゲームに課金してしまうと小遣いをドブに捨てることになるので、これについては極めてシビアであると考えられる。

  • 不動の一位だから安心して課金される。 ↓
  • ↑課金されるから不動の一位である。

 パズドラの、旧来の常識では考えられない異常な長期政権は、この正のフィードバックループによるところが極めて大きいと思われる。(もちろんスマホアプリはアップデートし続けられる、等の既知の効果は当然として。)

  • 本来なら飽きてやめてるところだけど、他に安心して乗り換えられるゲームがないから、パズドラを続けている。
  • 本来なら別のゲームをやっているところだけど、周りで安定して遊ばれてるのがパズドラしかないから、パズドラをやっている。

 等の需要はかなり溜まっている(いた)ということだ。モンストが完全にパズドラを抜き去って一位に行こうとすれば、この効果を崩して逆に自分のものにしなければならない。不動の二位まで行ったことで部分的には成功しているだろうが。

 大事なのはこのフィードバックループを維持しているのはユーザーの予測・期待であるということだ。最近、経済のインフレ期待の話としてよく聞くだろうが、経済現象では期待が自己実現するということがある。

 たとえば、いま一位でないとしても近い将来一位になることが、魔法で確実にわかるとしたら、やはり安心して課金され、実際に一位になるということが起こりうる。

 つまりパズドラのフィードバックループが維持される条件は、単に「一位であり続けること」ではなく、「一位であり続けると予想されること」だ。後者が満たされなくなれば前者も満たされなくなる。

 初回の抜かれの時に、たまドラの時のコメントと対応とか、プロデューサーがライターに切れたりとか、いろいろ冷静に考えたらありえない対応になったのは、パズドラ運営もこのことを直感的にか、あるいは理性的にか、理解しているからだろう。

 一時的に抜かれようが売上的に大した意味はなくても、一時的にでも抜かれることは、将来抜かれるかもという期待を生じさせるからだ。ひとたびそれが臨界点を越えた場合、フィードバークループがはじけ飛んで逆回転を始めるのを恐れるからだ。

 モンスト側から見ればこのバイアスは良し悪しで、地力では勝っている(後発なんだから当然だが)としても、それだけではパズドラは抜けないということになる。しかし同時に、実際に地力で勝つところまで証明して見せなくても、勝てると思わせるだけでいいことにもなる。

 当面は、フィードバックループをはじけ飛ばせる針の一突きがほしいところである。というわけで最初に戻るが、各種イベントを分散させずに、一点集中しているのはそういうわけではないかと。

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