19 「速い」銘柄か、「遅い」銘柄か?
現金取引の「安全性」や、「安全な」株に絞るのが賢明である、ということをよく聞く。私自身は、こういった考えは実践では通用しないと常々思っている。
「安全な」株というと、動きが比較的緩やかで安定した銘柄や、危険のない程度に安値で売っている銘柄のことだろう。「安全な」株のポジションについては、上げ相場の間、ほかの株がぐんぐん上昇するのを横目に、かなりやきもきさせられるのではないだろうか。また下げ相場のときにロングだと、安全な株のゆっくりした動きは、人に偽りの安心感を与えてしまうことだろう。
「偽りの安心感」(の否定)というのは、この本の主張を一言で表現するものとして適切ではないかと思います。
素早い動きをする銘柄では、間違いを犯す余地はなく、ポジションを建てる前には、緩慢な銘柄の場合より慎重になる。同様に、株が期待どおりの動きをしなかったり、逆方向に動いたりした場合にも素早く撤退できるように用心するようになる。私の意見では、これが本当の安全というものだ。さらに、利益の中から将来の過ちに備えて予備資金を蓄える機会もできる。
同じように、ある銘柄にかなり大きなポジションを建てたり、信用取引を使うことは、何かを買ったまましまい込んで安心しているよりも、はるかに安全である。人は信用取引でポジションを建てるときには慎重になるし、動きにも注意を払うからだ。
信用取引の方が安全というのは、もちろんやる人の資質次第ではあるでしょうね。まあ著者の姿勢は一貫しているので意味するところに誤解はないでしょうが。
潜在的な利益はポイントよりパーセンテージを基準に考えるベきだ。値上がりの勢いも同様に測るベきである。
これも当たり前と言えば当たり前ですが、地味に重要な話だと思います。1株の価格が株ごとに違う以上、前日比が絶対額でいくら、という情報はノイズにしかならないです。
たとえば、前日比が「150円上がっている」という情報は、前日終値30000円の銘柄なら「何も起きてない」ということを意味しますが、前日終値700円の株なら「ストップ高している」ということを意味します。
「150円上がっている」という情報は、少なくとももうひとつ他の情報を知るまで、何の意味ももたらしません。対して、前日比が「+15%である」というのであれば、たとえどんな銘柄でも、何か起きていることは確実です。
私は、自作エクセルツールでは、値上がり値下がりについては、最初からパーセンテージしか表示しないようにしています。
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