ウメハラの『1日ひとつだけ、強くなる。』という本は面白かったが、タイトルとなっている言葉そのものへの興味が尽きない。
「一日一善」とか昔から言うよなあ、とか考えているうちに、意志力の観点から、いくつかの概念を統一的に理解できるのではないかと思うようになった。
一般的に通じる安定した呼称はまだないようだが、意志力とか決断力とか精神力とか、とにかくそう言われるところのものがあって、以下のような性質を持つとする。
- 使うごとに減衰する
- 睡眠や休息で毎日回復する
- 通常の限度以上に回復することはない
- 使わなかった分を貯めておくことはできない
そして何かを成し遂げるには、その成果に比例したエネルギーが必要だとする。
この仮定のもとで、長期にわたって最大の成果をあげようと思ったら、毎日補充されるエネルギーを毎日きっちり使い切る、やり過ぎもやらなさ過ぎもせずにずっと続ける、以外の方法はない。基本的には。
ある時期はずっと猛烈に取り組み、ある時期はずっと怠けている、というやり方だと、猛烈な時期のパフォーマンスはエネルギーの上限にぶち当たり、怠けている時期の力は無駄に消えていくことになるからだ。
現実には、理屈通り行かないことはもちろん多いだろう。成果がエネルギーに比例するとは限らないし、適切なチャンスがなければ取り組んでも意味がないかもしれないし、何にやる価値があるかすらわからないかもしれない。
しかし、現実の一側面を理解する上で価値あるモデルであることは間違いなかろう。「一日一善」等の格言や「規律ある生活」とでもいった一見古くさい精神論は、このあたりの経験則が歴史化したものなのではないか。
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