なぜかビジネス系自己啓発書のような邦題になってしまっているが、副題の『運と成功の経済学』の方が内容に近い。前著『ウィナー・テイク・オール』から、いい意味で、言っていることが変わらない。
有利が有利を・不利が不利を呼ぶマタイ効果により、成功には偶然の要素が極めて大きい。しかし、個人的・社会的な様々な要因により、人間は運の重要性を認めたがらない傾向にある。そして、運の重要性を認めない人は、恵まれない人に対して冷淡になる傾向がはっきりある。
金持ちが一般人より消費するものの多くは、地位財・顕示的消費であり、軍拡競争で消耗しているだけの部分が多い。運の良かった金持ちに累進消費税をかけ、運の悪い人を救済することによって、金持ちの幸福もあまり下げることなく、社会全体の幸福を増すことができる。
というのが主な主張。累進消費税のアイデアは、詳しく見ていけばいろいろ実行が困難なところが出てくるのであろうが、基本的には良いように思われる。
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