タイトルを見て「当たり前やろ」と思った人は、この先を読む必要はない。話のきっかけは山本潤氏のツイートだが、その後本人がアカウントごと削除しているようなので、掲載は避ける。
投資に関してネットでも本でもよく言われることとして「一度大きくドローダウンすると回復するのは大変だから大損だけは避けるようにすべき」というようなものがある。
それが間違っていると言っているのではない。格言あるいは心構えとして完全に正しいと思う。問題はその先だ。
それと同時に数字が示されていることもよくある。すぐ思い出せるのは焼き魚氏がずっと固定ツイートにしているこれ。
ドローダウンの大きさ:回復に必要な割合
-5%:+5.3%
-10%:+11.1%
-20%:+25%
-30%:+42.9%
-40%:+66.7%
-50%:+100%
-60%:+150%
-70%:+233%
-80%:+400%
-90%:+900%
-100%:破滅— 焼き魚 (@roast_fish_koge) 2015年3月8日
もちろん、これが間違っていると言っているのでもない。極めて単純な算数で、自明の理である。問題はそこでもなくて、さらにその先だ。
この数字を額面のまま受け取って、たとえば「50%損失したら100%取らないと取り返せない」(正しい)ということを「増やすのは損するより2倍難しい」(間違い)かのように解釈している人がいるように思われるのだ。
そんな根本的な数学原理のレベルで減らす方が増やすより簡単なのなら、長期的には全ての投資家は破産し、全ての企業は倒産し、全ての国家は崩壊していくはずだ。それがおかしいのは直感的にもわかるだろう。
これはパーセンテージ(の絶対値)の数字に引きずられているだけの錯覚だ。
たとえば+10%と-10%になるイベントは同じ確率で生じるものだろうか? これも極端な数字で考えてみればわかる。+100%と-100%でも同じなのか? 200なら? 違うというなら、差はどこから出始めるのか?
この錯覚を避けるのはパーセンテージで考えずに最初から比率でしか考えなければいい。つまり、-50%(1/2)に対応するのは+100%(2/1)だし、+50%(3/2)に対応するのは-33%(2/3)だということだ。
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