これらの記事を書いていたら思い出した。
の直後に書く予定だった話を再開。
アスペルガー症候群 診断結果
「32点」
特に問題ありません
@メンタルヘルス アスペルガー症候群診断
https://t.co/O481OnFg7N
— 疑い深いトマス (@xFOMAx) 2015, 12月 8
もう1年以上前になるが、Twitterの投資家TLでアスペルガー診断がちょっとした流行を見せた。その際
- 「若干のアスペ傾向は投資にはむしろ有利」
という言説が、いくつか観察された。本当だろうか?
(ちなみに、この記事では本当のアスペルガー症候群にはあまり興味がない。ネットスラングレベルの話と思っていただきたい。)
結論から言うと、バイアスのせいで広まっている単なるデマの類ではなく、一定の根拠があると思われる。ただし、重要な留保条件があるので注意を要する。丸ごと信じてしまうと、むしろ有害にすらなりうると思う。
生命・脳・機械・コンピュータといった複雑なものは、専門化した部分の組み合わせが高度に制御されてできている。というより、それが複雑であることの実際的な定義だ。
定義そのものからいって、専門化した部品は、その専門分野について、他の部品より優れている。当然、全体(の平均)よりも優れている。でなければ専門化の意味はなく、そもそもその部品は存在していないだろう。
別に難しい話ではない。CPUの計算能力がパソコン全体より劣るとか、フラッシュメモリの記憶容量がスマホ全体より小さいとかいうことがありうるだろうか。そんなわけはない。
制御に欠陥が生じたとき、何かの能力が増す(ことがあるように見える)というのは、直感には反しても、ありうるどころか、複雑かつ高度なシステムには必然的に生じる性質なのだ。
そして、投資能力は、少なくとも市場平均を上回れるようなそれは、明らかに単純でない。コンピュータのように部品を眼に見ることができないだけで、多くの専門化した要素の組み合わせでできている。
ネットスラング的に言われている「アスペ傾向」は、特定の分野へ非常に熱心に取り組み、優秀である、という程度の意味であろう。
制御の部分に欠陥がないのであれば、それは単に特定分野で優秀な人である。制御の部分に欠陥があるのであれば、それは単に特定分野が優秀な代わりに、他の部分に(ひいては全体に)リスクを抱えた人である。
まとめると、
- 「若干のアスペ傾向は投資にはむしろ有利」
という言説は、
- 「なんらかの意味で特化しなければ、(とりわけ個人投資家が)優位性を獲得し、市場平均に勝つのは難しい」
という意味合いであれば、一定の価値があると思う。しかし、
- 「勝っている人は何か神秘的な能力を持っている」
とか、
- 「何か特定の能力(だけ)を身につければ勝てる」
というような解釈がされるのであれば、危険であろうと思う。
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