うまい話はないことの演繹法と帰納法

 皆さんすでにご存知だと思いますが、投資をする上で絶対に理解しておかなければならないことのひとつは「うまい話はない」ということです。

 しかし、単に「うまい話はない」という標語を知っているだけでは役に立ちません。なぜならうまい話は、いつでもどこにでも空気のように存在し、毎回毎回私たちの本能に働きかけ、誘惑してくるからです。

 それはちょうど、ダイエットをするのに「食べたカロリーより消費したカロリーが多ければ必ず痩せる」ということを100%理解していてもあまり意味がないのと似ています。

 「うまい話はない」ということを、自分に完全に納得させるには、どうすればよいでしょうか。

演繹法

 ひとつの方法は、うまい話がないことを原理から完全に証明し、疑う余地がないことを自分に納得させてしまうことです。

 それが可能な場合もあります。たとえば永久機関等のフリーエネルギー詐欺に騙されないためには、熱力学の諸法則を一度キチンと理解してしまえばそれで済みます。

 熱力学をちゃんと理解するのは大変ですし、投資家だからというだけで実際にそれを勉強する必要はないと思いますが、そのような法則が存在すると知っているだけで、実際上問題がないほど騙される危険は低くなるでしょう。

 しかし、残念ながら投資全般にまで範囲を広げると、フリーエネルギーに対する熱力学の法則に相当するようなものはありません。

帰納法

 もうひとつの方法は、ありとあらゆる「うまい話」と、それに裏切られる結果を、大量に繰り返し脳に叩きこむことです。

 そして個別例の共通点としての「うまい話はない」という命題を、徐々に自分の中に定着させていくことです。

 もちろん、実際に何度も様々な方法で騙されていたら身が持ちませんので、先人の経験に頼ることになります。

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