『アバンダンス:「豊かな時代」を呼びさませ』★★★★

 エズラ・クライン(著)、デレク・トンプソン(著)。原題は"Abundance"。なお「アバンダンス」に適切に対応する日本語の一語はないと思う。あえて言うなら「有り余り」ぐらいのニュアンスか。

 これはこれで一方に偏った見方であって、希望的観測には違いない。しかし、いわゆる徳シグナリングに堕し、貧困層を害して階層を固定する縮小均衡的な思考に流れがちな、リベラル左派の経済政策を改善するという、私の常々主張している方針と一致する方向への流れへの、重要な一冊であるのは間違いないと思う。

 環境運動の発展の中で「何々させない」ことばかり得意になった、政治を悪とみなす傾向、イノベーションを重視しない方向——といった左派の問題点を、左派の内側から指摘しているのが良い。

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