やみはあけぬ ほしきえて
ふねうかへ ゆめもとむ
さちいのり おそれすに
せをわたらん
よろこひくる まなつ
闇は明けぬ 星消えて
舟浮かべ 夢求む
幸祈り 恐れずに
瀬を渡らん
喜び来る 真夏
意味:
夜の闇はすっかり明けた。
星が消えてゆくなか、
舟を浮かべ、夢を追い求める。
幸いを祈り、恐れることなく、
荒い瀬を渡ってゆこう。
喜びの訪れる真夏よ。
Fable5に従来のモデルでは質的に絶対にできなかった課題を与えてみようと思って試したら、これができた。
要件を守っているだけでも十分すごいが、歌としての意味と美しさも想像以上にちゃんとあるような気がする。少なくとも自分には時間無制限であってもこれより良いものが作れる自信が全くない。
気に入ったので部屋に貼りたくて印刷用データまで作ってしまった。
ちなみに、与えたプロンプトと回答はこれだけ。(実際のチャットログ)待ち時間はついでだったので、はっきり覚えていないが、10分はかかってないのではと思う。今回はやはり質的に大きなジャンプアップがあったと認めざるを得ない。
あまりにもすごいので、最初はどこかから有名なのをパクってきてるんじゃないかと思ったが、Webから引っ張ってこれるようなら、自分でググっても見つかるはずだが、見つからない。
チャットの履歴をよく見たら、思考過程(全訳)まで表示できるので、本当にゼロから創作されたことも認めざるを得ない。少なくとも自分には、純粋にAI産の文学に心を動かされた史上初の例となった。
思考過程をちゃんと読むと、散々迷走したあと「問題の本質に気づいた:」の段落から一気に進み始める(その段落以前に過程内に登場している句は「ほしきえて」のみ)のが、エウレカ感・アハ体験を追体験できる感じがして、それ自体がちょっと面白い。



コメント
「思考過程(全訳)」を、たいへん興味深く読ませていただきました。
新いろは歌がどのように出来上がってゆくかが詳細に記録されていて、試行錯誤の段階が、まるで一つのドラマのようです。私自身、創作過程で確かにこんなふうに考えることがあるなぁと、AIの思考に共感を覚える部分がありました。
面白いなと感じたのは、AIも歴史的仮名遣いを基本に置きながら、完成作は現代仮名遣いと共通する仮名遣いの単語のみで成立させている点です。
〔現代仮名遣いに無い「けふ(今日)」とか「にほひ(匂ひ)とかいう語は、創作過程で淘汰され、最終的には消えてしまっています。〕
現代詩としての解り易さを追求した結果なのかどうか、気になるところです。
中村さん、コメントありがとうございます。
ご指摘の点、面白かったので思考過程を読み返してみました。
実は「けふこそ」は一度採用しかけていて、
「いろは歌本家にも現れる古典的な形なのでふさわしい」
とまで言っています。
「にほひ」も「花の匂ひ」「色匂ふ」「袖匂ふ」「菊匂ふ」と、
形を変えて何度も候補に挙がっています。
しかし、終盤の「問題の本質に気づいた:」以降に消えてます。
本質とは「難しい文字を最初に強い古典句へ配置」することで、
「ぬ、ね、ろ、む、を、ん、へ、ふ、ほ、や、よ、わ」
が難しい字とされています。
なので、これらが消えるのは、難しい字の「ふ、ほ」が、
ここで確保ないし分散(?)されてしまったからかなと。
ただ、そもそもの課題が「ゐ・ゑ抜き」なので、
現代仮名遣い寄りになる傾向が
最初からあるのかもしれません。
他に読み直して気づいたのは、最初の方に見られる
「とりなくや」「ゆめもきえ」「あけのそら」”帆走関係の語”などは、
新いろは歌の代表的存在である鳥啼歌(とりなくうた)の
影響ではないかということですね。
お題が実質「新いろは歌」以外何も言っていないので、
まず調べてそこから連想が始まるのは自然な気がします。
最終的に複数文字レベルで一致するのは、
「明け」「夢」「舟(船)」ぐらいで全然別ものですが、
舟が登場するのは究極そこ由来かもしれません。
新いろは歌を長年作り続けて来た経験から、私が感じる“難しい文字”を10種挙げるとしたら、
「え、お、せ、ぬ、ね、ほ、ろ、わ、ゐ、ゑ」
です(私は「ゐ」「ゑ」を含む四十八文字を基本としています)。
その中でも特に「ろ」の扱いにはいつも困るので、「おぼろ(朧)」「ほろゑひ(微酔ひ)」「よろこぶ(喜ぶ)」「ロマン(浪漫)」「だうろ(道路)」等の語を先に考えると、歌が作り易いです。
現代仮名遣いなら「え」「お」「わ」はさほど扱いに困りませんが、歴史的仮名遣いになると案外用途が少ないです。
しかし、現代仮名遣いより歴史的仮名遣いのほうが、描き出せる世界が圧倒的に広いと思います。
例えば、
「おおおじが、きょう、きょうへはしる(大伯父が、今日、京へ走る)」
という文をお考え下さい。現代仮名遣いでは、仮名の重複が絶対に避けられませんが、歴史的仮名遣いなら、
「おほをぢが、けふ、きやうへはしる」
と、一字も重ならないのです!
新いろは歌は、歴史的仮名遣いで作ってこそ、その無限性をより強く実感できると思います。