我思う故に人類は滅亡する

 平凡の原理(コペルニクスの原理とも)に基づけば「今自分がここにいる」という観測事実を最もよく説明するのは、ホモサピエンスとしての人類は間もなく絶滅する」という予想である。

 もう少し詳しく説明しよう。まず、自分が現在生きているホモサピエンス(以下人類)であるという事実だけは疑いえないものとしよう。すると、平凡の原理からして自分は最も平凡な人類と仮定するべきである。

 そして、限りなく確実な事実として、人類は誕生から今まで、概ね指数関数的な増加を続けてきたので、最も平凡な人類とは、最も数の多い、すなわち現在生きている人類である。

 つまり、あなたや私が現代に生きていることは特に驚くべきことではない。ここまではわかるだろう。

 次に、今後人類が現在のようなホモサピエンスのまま宇宙に進出し、銀河系全体に植民して、何兆何京という人口を持つ、SFのような銀河帝国を築くと仮定する。すると、最も数が多く平凡な人類とは銀河帝国の民であることになる。

 そうなると、あなたや私が現代に生きていて、銀河帝国の民ではないということは、天文学的な低確率を奇跡的に引き当てたことになる。驚くべきことである。

 つまり平凡の原理に基づくのであれば、今自分が人類として生きているという事実のみから導ける最も平凡なシナリオは、銀河帝国シナリオの逆ということになる。

 極端には、もう間もなく人類が滅亡する、ないしは著しく数を減らす。たとえ死なないにしても、少なくとも今までのようなホモサピエンスではなくなる、というものになるのである。

 一見詭弁にも聞こえるだろうが、否定はとても難しい論理である。近年のAIの急速な発展やらシンギュラリティ論やらを考えれば、あながち冗談とも思えなくなってくる。

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