タネ銭は資産じゃない話とリスク選好の性差

 この猫バスさんの話で思い出したが、私の妻も「もし専業になるなら5億は行ってからね」みたいなことを言っている。(今のところ仮に5億あってもそれだけを理由に会社は辞めないと思うが。)

 この数字は、利回りと必要額を計算して……とかではなく、単に「今後儲けがゼロどころか資産半減しても一生安泰に暮らせる額」として出てきたのではないかと思う。

 一般論としてリスク選好の性差はかなり強固なもので、多くの場合、女性は「絶対安全」以外積極的には認めないということではないかと思う。

 それだけに、仮に例外的に積極的なリスク理解のある女性を母や伴侶に持てるなら、それは特に投資家としては稀有の幸いになりうるが、うちは例外ではない方だということだ。

 一般に、男性へのアドバイスとして、(投資に限らず)リスクを取ることについて女性(母・妻・恋人)に「相談」するべきではない。

 それは必ずNOという答えを返すオラクルであり、情報としての価値はゼロだ。秘密にしろと言っているのではない。説明し協力は求めても、計算と決断は自分だけでするべきだ。(もちろん結果に責任を負うのも最後は自分だけに留められる前提での話。)

 これはイメージだけで言っているのではない。自分もわかっていなくて、2014年に実際にそれをやってしまった。

 5月のモンスト相場本番直前のとき「これは間違いなく一生に数回しかないクラスのチャンスで、一気に家を買えるどころかリタイアも可能になるレベルもありうるが、君はどうしたい?」という要旨のことを聞いてしまった。

 当然、妻は「そんな急に金持ちになれなくても平穏に暮らせる方がいいよ」というようなことを言い、ちょうど子供が生まれる直前だったこともあって、当時の総資産の1/3程度のところでブレーキを引いてしまった。

 しかし、いくら家族に対する責任があっても、下値がそんなにありうる状況でもなかったし、計算上は信用なしの現物100%ぐらいは行ってしかるべきところだったと思う。

 彼女は要するに「絶対安全な上でできるだけ利益も欲しい」と言っているだけだということがわかっていなかった。

 もちろん妻が悪いのではない、立場が逆でも絶対にそうなる。道理がわかっていなかった自分が悪いのだし、初の大勝負の恐怖から無意識にブレーキを肯定してくれる答えを求めていたのかもしれないとも思う。

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