ここ数年で明らかになった最も重要な事実は、近い将来、全ての能力で人間を上回るAIが実現することが確実になったことである。そして、そこから導かれる結論を一言で言うと、AIシフトを生き延びるには資本家になるしかないということである。
AIに代替できない職業は、スポーツ選手やアイドル、政治家など、さまざまに言われているが、ひとつ確実だと思えるのは資本家である。AIやロボットが労働者を代替することはできても、資本家つまりその所有者を代替することはできない。将来的にはそれすら可能になるのかもしれないが、仮にそうなった時には、もはや投資という行為自体が不要になっているだろう。
資本主義社会において、人間は誰しも消費者・労働者・資本家という三つの役割を、程度の差こそあれ部分的に担っている。AIの普及によって、それぞれがどうなるか? おそらく、消費者は有利になる可能性がある。資本家は間違いなく一方的に有利になる。そして、労働者だけがひとり負けの構図になる。
AIやロボットが完全に人間を上回らなくとも、労働力として競合するようになるだけで、労働者は不要になるか、少なくとも労働力の安売りを強いられることになる。その結果として、消費者と資本家はその恩恵を受ける。より具体的には、資本家は労働者をリストラし、その分を配当や自社株買いに回すことが可能になる。
資本主義社会において資本家が有利であること自体は、これまでも当たり前ではあった。AIの発展によって、その傾向がさらに加速するということだ。
ユニバーサルベーシックインカムのような制度は、いずれ必要になるだろうし、実際に導入される可能性も高い。ただし、AIの発展速度に比べて、政治が同じスピードで追いつくことはあまり期待できない。少なくともその移行期間において、労働者が極めて厳しい状況に置かれることは、ほぼ確実だと思われる。
私はもちろん、資本家と呼べるような資産は持っていない。しかし、自分自身のいわゆる人的資本――それをどう計算するかによっても違ってくるが――に匹敵する、あるいはやや上回る程度の資産規模になっていることも、また否定できない事実である。
これは当然、労働による給与所得を収入の主軸とする、すなわちフルタイム労働をする兼業投資家であることを続けることよりも、フルタイムで投資に時間を使う専業の投資家(≒資本家)への転身を目指すことを後押しする要素になる。


コメント