『ライフサイクル投資術 お金に困らない人生をおくる』★★★★

 イアン・エアーズ (著), バリー・ネイルバフ (著)。靴おじ氏のツイートから知って読んだ。

 一般に株のリターンは債券より良い。よって可能な範囲で株のエクスポージャーを増やすのが正しい。しかし、一般的なポートフォリオ理論ではそうなっていない。

 大抵は人的資本(≒将来の所得から可能な貯蓄)や公的年金が計算に入っていない。これらは債券的な性質を持つため、通常は(意図せず)圧倒的に債券に偏ったポートフォリオになってしまっている。

 人的資本も計算に入れた上で、ポートフォリオ上の株の割合を一定に保ち、時間的にも分散して、エクスポージャーを大きくするのが、理論的な最適解である。

 そのためには、若いうちに住宅ローンを借りて家を買って、不動産のエクスポージャーを大きくするのと同じようにすれば良い。具体的には、若いうちにはレバレッジをかけて株を買うべきである。

 ……という内容の本。考え方は以前にも株クラで少し話題になっていた記憶がある。自分も似たような内容のツイートをしている。私の感想はやはり以前のツイートと同じである。

 理論上は完全に正しいのだと思うが、本人のスキルや、SAN値(ギャンブル依存症までのマージン)温存の観点から考えると、理論値通りそのまま実行するのは一般にハードルが高いと思われる。ややマイルドに従うのがちょうどいいのではないかと思う。

 ケリー基準が理論的には正しくても、実際には半分ケリーぐらいで実行しろ、という結論によくなるのと同じようにである。

 ただし、エクスポージャーを増やせという指摘には、この本の内容を超えて応用できる部分もあるのではないかと思う。たとえば子供のジュニアNISA(今はその制度自体はなくなっているが)で株を買う際には、安定株よりはギャンブリングな銘柄の方がいいのではないか……とか。

 また、純粋な投資理論としての内容とは関係ない部分だが、アメリカンジョーク的な語り口が、基本そういうのが大好きである私でさえややノイズに感じるので、人によってはきついかも。

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